何だか浮かない顔してるけど、何かあったのかい?
そうなんだ…
来週末にバーベキューに誘われて、本当は断りたかったんだけど僕以外みんなノリノリだったから正直に言い出せなくて、流されて参加することになったんだよ。
かといって一人何もしないなんて許されないでしょ。
そういう暗黙の空気感がイヤでさ…
準備から後片付けまで周りを見ながら動かなきゃいけないから、私たちにとっちゃ不得意なことの盛り合わせなんだよ。
だけど、バーベキューの仕事ってそこまで複雑じゃないから、いっそのことマニュアルにしてしまえば私たちも無理なく立ち回りやすくなるんだ。
私もバーベキューは鬼門だけど何度かイヤイヤでも参加していて、それぞれで学んだことを今回お伝えするよ。
バーベキューを通じた出会いのチャンスもあるから、立ち回りでマイナスポイントを喰らわないようにしておきたいね!
バーベキューの仕事は”陣取り合戦”
バーベキューマニュアルを紹介する前に、バーベキューに臨む際の基本的な心構えについてお話します。
見出しにも書いた通り、バーベキューの仕事は陣取り合戦であると表現するのが一番適していると考えます。
何もハンデを抱えていない普通の人にしてみれば『何じゃそりゃ??』って感じでしょう。
しかし、私たちにとってはまさしくそうで、誰が見ても必要だと分かりやすい仕事をいち早く取っていかないと気付きにくい仕事しか残らず、ボーッと突っ立ってるしかなくなってしまいます。
そこを普通の人なら少し考えれば、『あっ!こういうことも必要そうだな』と気付けますが、我々にはそれが困難。。
ASD持ちでバーベキューに乗り気でない人の多くは、そうなってしまいがちなゆえに苦手意識が芽生えてしまったのではと考えます。
今回紹介するマニュアルには出来るだけ細かい役割まで網羅しましたが、必要な仕事が時々刻々変わるバーベキューでは、どうしてもご自身の頭脳を働かせる必要が出てきます。
とはいえ、バーベキューでやることは次の3段階に分けられるので、それぞれのステージごとで誰も手を付けていない仕事に着手すれば、手持ち無沙汰になることはありません。
バーベキューは参加する前の準備で明暗が決まる!
最近は”手ぶらで~”をウリにしたバーベキュー広場もあったりしますが、あえてそうではない会場が選ばれることだってあります。
なので、会場にはバーベキューテーブル以外何もないと考えておけば、準備不足になることはありません。
というわけで、私がもし今後バーベキューに参加することになったら、次のものを引っさげて行きます。
- 軍手(2~3双)
- 新聞紙(5部くらい)
- ライターorマッチ
- 汗拭きタオル
- ゴミ袋(2~3枚程度)
- オリーブ油
これだけあればまず困ることはありませんが、気合が入りすぎるのも考え物。
例えば、火起こし用の木炭も必要ですが、さすがにそれは用意されているバーベキュー場が大半なので、持っていくとヒカれるリスクのほうが高いでしょう。
また、具材をカットする包丁も必要ですが、刃物を持ち歩くと色々面倒なことになりかねないので、木炭と合わせて持っていかないほうが無難です。
紹介したものは必ずしも必要になるとは限りませんが、主催者が準備しきれなかったり、用意してきたものだけで事足りなくなったときにサッと差し出せればあなたの株が上がることは間違いありません。
なので、あなた自身が主催しているぐらいの気持ちで臨むのがベストでしょう。
食材が焼き上がるまでにASDの我々ができること
そして、一番バタバタするのが準備してから食べるまでの間。
その間の空気がイヤという人も少なくないと思います。
冒頭で話したように、食べられるタイミングになるまではとにかく仕事を切らさないよう注意し、今からリストアップすることの中から取れる仕事をどんどん取っていきましょう!
食材カット
いくらワイルドなバーベキューでも、生野菜をそのままかじろうって人はあまりいないでしょう。
となると、適切な大きさに切らなきゃいけないワケですが、我々ASDにとっては
- どの食材を?
- 何センチの間隔で?
切っていくのか、キッチリしたマニュアルが欲しいところで、食材切りを任せられた途端そういう数字的なことが頭をよぎりがちです。
加えて、私なんかはほとんど包丁を握ったことがないモンだったから、もうそれはそれは彷徨いましたよ…
もちろん、食材は色々あるし切り方も様々。
だけど、一流レストランのコックじゃあるまいしあくまでバーベキューですから、切り方も適当で良い!
となると、食材切りを任されたんならご自身で切り方を決めてしまえば良いんです。
とはいえ、完全に適当に切っていては後で大変な目に遭ってしまうので、次のことは守るようにしましょう。
最後の箸で掴みやすいように~という点は正直難しいと思います。
イメージ的には箸が通るようにくぼみをつけることですが、さすがにそれは面倒ですし食材切りにそこまで時間をかけるのも現実的ではありません。
ただもし、時間をかけずにそういうことができる方法があれば、それを実践してみても良いでしょう。
食材切りについて、もう少し詳しくかつ簡単に解説したページを見つけましたので、参考までに紹介しておきます。
火起こし
バーベキューと言えば煙モクモクのかまどを取り囲むイメージなので、この火起こしがバーベキューの肝だと言ってよいでしょう。
といっても、火を起こすことができれば任務完了ですから、食材の面倒を見るよりは遥かに簡単です。
火起こしには手持ちの道具によってやり方があり、それを詳しく解説したページが別にあったので、参考にしてみてください。
また、火加減の調整も大切になってくる仕事です。
野菜と肉の焼き加減、順番は?
さて、我々ASDにとっては食材を焼くことが一番悩ましいのではないでしょうか?
- 焼き加減は?
- 焼く順番は?
- 一度に焼く量は?
などなど、気にしなきゃいけないポイントが盛りだくさん。。
ましてや一度に複数のことを考えるのが苦手な我々にとっちゃ、まさに鬼門。
バーベキューで動けない人になりたくない一方、できれば食材焼き担当は避けたい…
だからバーベキューなんて嫌いなんだ!って人も少なくないでしょうね。
そんな我々をよそに、まるで全部のやり方が分かっているかのようにサッサと食材を焼ける人もいる。
そんな人との違いは??
訊いたわけではありませんが、おそらく根本の考え方の違いがありそうです。
万一私たちが食材焼きを任されると頭が真っ白になり、ただ焼くことにばかり意識が集中しがちです。
しかし、デキる人は焼くことがバーベキューの主目的ではないことを知っています。
はい。
確かにそうなんですけど、最終的には食べることが目的ですよね?
焼くだけ焼いてハイ終了!ではありませんね。
ってことは、バーベキューでデキる人は食べる時のことを考えながら焼いているんです。
そうすると、自ずと
- 焼き加減は?
- 焼く順番は?
- 一度に焼く量は?
に対する答えは出てきます。
・・・
って言っても我々ASDには無理がありますよね(汗
やはり、一つひとつ解説した手引書は必要。
というわけで、説明しましょう。
焼き加減と焼く順番ですが、バーベキューに参加する大半の人は焼肉が目的だと思います。
ただ、だからといってそればっかり焼いていたら、いざ食べる時になって焼肉しかない…なんてことになり、食べていくうちに胃がしんどくなってしまいますね。
バーベキューで野菜があるのは焼肉で疲れた胃を休めさせる意味もあるので、肉と野菜が同時に焼き上がるのがベストということになります。
そして、肉は火が通りにくいものですから最初に網の上へ置きますが、このとき、最も火が通りやすい中央付近に並べておくのが良いでしょう。
次に野菜を焼いていくわけですが、火が通りにくいものから順に網の中心付近から並べていきます。
そうですね。
大概は肌感覚に頼っていますが、肉を並べてひっくり返すタイミングで並べはじめるのが良いでしょう。
具体的な食材をざっくり紹介するなら、
- にんじん
- じゃがいも
- とうもろこし
- かぼちゃ
- しいたけ
- 玉ねぎ
- なすび
- ピーマン
の順に火が通りにくいので、この順にかつ網の内側から並べていくのが良いでしょう。
また、バーベキューの幹事によっては魚介類を加えることもあると思います。
その場合、魚介類も火が通りにくいので肉類と同じタイミングで網の中心から並べていきます。
そして、焼く量についてはそこまで難しくありません。
参加している人数とそれぞれ食べるペースを見ながら焼く量を決めていきます。
みんながガツガツ食べている様子であればどんどん焼いていけば良いし、歓談のほうに力が入りがちになったらペースを落とす。
このあたりは単純です。
そして、たまに持ってきた食材は全部消化しなきゃと躍起になる人もいますが、あくまで皆で食べきれる分を焼くことが基本。
ただそうは言っても、さすがに買い出しの段階でちょうど良い量を見極めるのは難しく、持ち寄った食材は余ることが多いですが、火を通してしまった分は捨てるしかありません。
しかし、火が通っていないものは持ち帰れば後で家で消化できるので、参加者でシェアすればフードロスを減らすことが出来ます。
このあたり、もう少し詳しく知っておきたい方は、こちら↓↓のページが参考になります。
配膳
続いて、皿や箸などを人数分配っていく配膳。
これも単純なので我々にとってはおあつらえな仕事でしょう。
なので、食材が焼き上がりそうになった頃合いを見計らって、
- 紙皿
- 割りばし
- コップ
- お茶
席配置を把握しておき、一人ひとりに配っていきます。
片付けの先取り
バーベキューでしんどくなりがちなのが後片付けですが、やはり大変な思いをして準備をし調理も自分たちだけで行ってやっと食にありつける。
それがバーベキューなんですが、食べて話すことが一番のヤマですからそのイベントが過ぎてしまえばすべて終わった気になってしまう。。
だから、後片付けになるとダレてくるのではないかと。
しかし、食べるのが終わるまでに出来るところから順次片付けに着手していれば、後々ラクになることは想像に難くありませんよね。
『いただきまーす!』と食べ始めて中盤くらいになってくると、空いたコップや皿がちらほら出てきます。
それを少しずつ片付けていきます。
- 食べ終わった皿やコップの処分
- 焼き終わった網を洗う
- 炭などの処理
このあたりは、食べている途中でも出来ることですから、あなたがイチ早く気付いて動き後々ラクできるようにしておけば、あなたに対する見方がプラスになるのは違いありません。
後片付けでの仕事
楽しくワイワイ(?)食べて話し終わったら後片付けが待っています。
先ほど話した片付けの先取りをやっていれば、幾分かはラクになりますね。
片付けはただ単に自分たちが広げて使ったものを元の状態に戻せば良いだけの話ですが、先取りで作業をする時でも個人の持ち物は持ち主に確認する必要があったりするので、出来る限り共用物の後始末から手を付けていくようにしましょう。
具体的には、
- グリルの掃除
- ゴミ集め
- テーブル周りの掃除
などですね。
ここで、あなたがゴミ袋を持ってきているだけでもポイント高いですよ。
気を付けたいこと
あなたがバーベキューに参加した時、ここまで説明したことをやっていれば少なくとも”動かない人”ではなくなります。
仕事が無くて(見つけることができなくて)彷徨ってカッコ悪い姿を見せつけることも、もちろん無くなります。
そうなれれば当初のあなたの悩みは解消できますが、ただ、あまりに頑張りすぎていると良い意味で目を付けられて次回幹事を任されるリスクが出てきます。
幹事って聞くと大変なイメージを想像しますが、本当に大変です(汗
参加者にはない仕事が課せられるし、何よりメンバーをまとめなきゃいけない。
ASDの人の多くは、人をとりまとめることが苦手な傾向ですから、”幹事”って聞いただけで嫌気が差すと思いますがあなたは如何でしょうか?
まぁ、少なくとも私は死んでもやりたくありません(笑)
参加するだけでも苦痛なんですから。
あなた自身が『別に、幹事ぐらいやってもいいけど』という気持ちがあるなら別ですが、やっぱり幹事を引き受けるのは嫌だ!って場合は注意しておきたいところ。
それで、断りやすい方法とそうでない方法とがあって、できれば前者の方法ですんなり波風立たせず断りたいですよね。
それならば、やっぱり最初から【幹事は無理なキャラ】を立てておくことです。
同じ断るにしても、相手に話を出されるより先に自分から自然な流れで『できない』『無理だ』ということを伝えるほうが格段に断りやすいです。
というのは、何となく感じている人も多いでしょう。
だから、幹事を引き受けたくないと思うなら、引き受けできないことを伝える断り文句を会話の中に挟むためにアンテナを立てておきましょう。
かといって、何の脈絡のないところから『俺、幹事無理だから!』といきなりぶっ込むものならヒンシュクを買ってしまうから、例えば、
これなら、ハッキリ断りつつも自然な会話の流れの中に入れ込めていますよね。
こんな具合に、自分に幹事は引き受けられないってことを自分から先に伝えるのです。
馬男のここだけ押さえて!
ASD男子が苦手としがちなバーベキュー。
どうしても断りたいけど断れない場面に遭遇することもあるので、そういう人向けにマニュアル化してみました。
バーベキューでの仕事は、各場面で3段階に分けられ、
- 第1段階:前準備
- 第2段階:焼き上げ
- 第3段階:後片付け
それぞれでポイントを押さえておけばあとは各ステージで誰も手を付けていないところをやってけばいいだけなので、さまよったり、場違いなことをすることは格段に減り、言わずもがな【動かない人】を卒業できます!
とはいえ、あまりに頑張りすぎていると良い意味で目を付けられ、幹事候補に仕立て上げられるリスクもあるので、
【バーベキューで動けるんだけど幹事は引き受けられない】
キャラを最初から立てておくこと。
身の危険(?)を感じたら、会話の中に自然と断り文句を挟むポイントを探すアンテナを立てておきましょう。
そんな具合に、適度に動きつつ頑張りすぎないことがASD男子が最も無難にバーベキューを過ごす方法といえます。